Braid をようやくクリアした。
正味時間は10時間弱程度だがそのうちの6割は解法を見つけ出す為に唸ってる時間が占めていそう。
間違いなく今年最高にエキサイト出来た。
最初にプレイ動画を観た時の「ソロモンの鍵(改)だろこれ」という舐め切った印象は完全に覆っている。
英語圏で言う所の Platform Game ではベストだと言い切ってしまおう。
press start button がない
開発者が press start button 廃止派。採用にあたって色々あったようだ。
水彩画調の美麗 2D グラフィック、穏やかな室内楽にメランコリックなストーリー
美しくて恐ろしさも含む絵柄は好みだ。レベルによって色味に変化があるので進めていくのが楽しい。アンビエント寄りの室内楽 BGM との調子も揃っている。もの悲しい雰囲気を持った抽象的で掴み切れないテキストベースのストーリーテリングもレベルを進めたい欲求に一役買っている。
時間操作を主体とした様々なギミック
時間の巻き戻しギミックをフィーチャー。レベルを進めていくと、巻き戻しを始めた瞬間までのシャドウリプレイや局地的に時間の流れを遅くすることが出来るようになる。また、この巻き戻しの影響を受けないオブジェクトも出てくる。更に巻き戻しとは違う、レベルに仕込まれたギミックもあって、なんというか、脳が大変。FPS で「俺TUEEEE」ばっかしている脳筋ゲーマーな俺様は熱が出そうになった。本当に難しくて本当に面白い。
俺ってばすげー
「なるほど!そういうことか!」「うわー、よく考えたなこんなの」がクリアまで持続する。そしてエレガントな解法を見つけた時の「俺ってばすげーじゃん!!」が圧倒的に気持ち良い。力技で解決出来そうで出来ないレベルデザインの妙。フィーチャーされているギミックをどう使って解かせようとしてるのか、ということに着目してひたすらトライアンドエラー。脳筋ゲーマーな俺でもクリア出来たので攻略動画とか見てるヤツは間違いなくオカマ。1ピースを取るのに30分掛けたケースもあるけど。
例えば Portal
イノベーティブなパズルアクションという点だけでなく、ぼやけたストーリーの見せ方も同系統と言える。Portal のように “passive narrative” とはまではいかないが、プレイヤーがかなり想像を働かせて解釈を見つけ出す方式。素晴らしく印象的なラストレベルと何となく浮かび上がってくる全体像。解釈しようと頭を働かせているうちにもう一度やりたくなってくる。
リプレイアビリティは意外と高いぞ
解法がほぼ限定されるパズルアクションだが、レベル内にストーリー解釈のヒントがあるのではないかという疑いや、タイムアタックモードによるリプレイ性。特にタイムアタックのシビアさは異常。解法を理解してるからいけるなんて甘いもんじゃない。ひとつひとつの動作の正確性を求められるし、ショートカットを見つけ出す必要もある。メニュー画面以外では、パズルを組んでいる時間だけ時計が止まるのでそこで息抜きにするみたいな感じ。
ファミコンソフト2008
見覚えのある動きのキャラクターやレベルというのはさておき。かつてファミコンで遊んでいたゲームを、ただひたすら実直に2008年まで育て上げた成果物と位置づけた。テクノロジーや流行や株主の意向等に毒されていない無菌培養のファミコンソフトだ。
「インディゲーム純潔の誓い」をふりかえる
まさにこれだ。
Braid にまつわるあれこれの簡単なまとめ
- 2006年の Independent Games Festival で “Innovation in Game Design” を受賞
- 開発元が Number None, Inc. となっているが、その実体はほとんど Jonathan Blow の個人プロジェクトみたいだ
- 開発期間は3年で、Blow 個人で $180,000 の持ち出し
- XBLA の制限がキツいと漏らす(サイズ的な意味でクオリティの限界が出てくる)
- 続編やレベルパックを作る予定は無し
- Braid で press start button を廃止するあたって MS のサポートがあった(規約上ホントはダメ (technically illegal if you go by the book) なのを曲げてくれたようだ)
- WiiWare ではサイズ的に無理
- MS から XBLA でのリリース打診があった
- SONY は興味を示さなかった
http://en.wikipedia.org/wiki/Jonathan_Blow
http://en.wikipedia.org/wiki/Braid_(video_game)
http://www.gamasutra.com/php-bin/news_index.php?story=19748/
http://online.wsj.com/public/article_print/SB121814539048522033.html
Gamasutra の方は MS 非難寄りの記事になっていたが、Blow がコメント欄で「MS とのビジネスはクールな面もあったよ」とフォロー
Blow はインディペンデントのゲームデザイナーとして結構な評価を受けているようだ。World of Warcraft を痛烈 DIS したプレゼン資料は読みごたえがある。プレゼンでは Bioshock での LittleSister の処遇をプレイヤーに委ねたのはデザイン的に宜しくないとも言っている。
http://braid-game.com/news/?p=129